メークイン~十勝・帯広産の甘さが自慢のじゃがいもです

「メークイン」はイギリスで誕生し、中世時代の春のお祭り「メーデー」で選ばれる女王にちなみ、
「5月の女王」=メークインと名付けられたと言われています。
北海道の中でも十勝・帯広産のメークインは甘さがあって特に美味しいと評判です。その訳は十勝周辺の土地と気候にありました。

★メークインってどんなじゃがいも?

メークインは細長い俵型をしていて、黄色みが強く粘りとなめらかな舌触りが特徴です。
そのため煮崩れしにくく、カレー、シチュー、肉じゃがといった煮込み料理に向いています。
また、低温で保存しておくと、粘りと甘みが増す性質をもっています。
メークインの発祥は道南の厚沢部(あっさぶ)町。役場の裏にはメークイン発祥の碑も建てられています。
誕生したのは「男爵」よりもずっと後、大正時代です。
しかし、昭和20年までは食料統制で、食用のじゃがいもは男爵だけとされていたため、メークインはさほど注目される品種ではなく、細々と生産されている程度でした。
戦争が終わり、食糧難も過ぎたころから徐々に人気が出始め、ピーク時の北海道全体の作付面積は9926haにもなりました。
また、メークインにはカリウムやビタミンC、ビタミンB群が多く含まれています。そのため、高血圧やがんの予防、若さを保つ効果があります。
ほかのいも類や穀物に比べて低カロリーで繊維質も豊富なことから、美容やダイエットに適した食材と言われています。

★十勝・帯広産のメークインが美味しいワケ

じゃがいもの生産量日本一を誇る北海道。
北海道がそんな“じゃがいも王国”となったのには北海道の“気候”大きく関係していました。
じゃがいもの原産地は南アメリカの中央アンデス山脈と言われており、そこは標高3000mを超える高地です。
そんなアンデス地方の気候に似て寒暖差が大きく、広大で肥沃な土地を持つ北海道はじゃがいも作りに最適な環境だったのです。
また、じゃがいもは強い風や寒冷な気候にも耐えるため冷害の影響を受けず、
痩せた土地でも育ち、作付面積当たりの収穫量も多いため外国では飢饉対策に使われます。
北海道の厳しい自然の中でもよく育つことから、いつしか生産量は日本一となったのでした。
中でも帯広市大正町で生産される「大正メークイン」は、北海道のメークイン作付面積の約30%を占めています。
それは十勝地方の気候が北海道の中でも特にメークインにとって最適な環境だから。
メークインの生育適温は16℃~20℃で、17℃が形成適温とされています。
さらに生育には夜の気温も重要で、10℃~14℃がベストコンディション。
夏は目一杯陽を浴びて光合成を行い養分を蓄える時期ですが、気温が29℃を超えると生長をやめてしまいます。
つまり、十勝地方の昼と夜の寒暖、そして夏場の気温がメークインの好む条件にぴったり当てはまっているため、盛んに生産されているのです。
収穫したメークインは甘さ、美味しさとも格別です!
また、十勝地方にある芽室町の農家ではじゃがいもを「雪室(ゆきむろ)」で熟成貯蔵させる方法を取り入れています。
冬に降った雪を蓄えた“天然の冷蔵庫”である雪室は2℃~4℃という温度と90%の湿度をキープでき、この状態がじゃがいもの熟成に最適です。
雪室で熟成されたじゃがいもは、寝かせている間にでんぷんが糖に変わることでしっとりと甘くなり、東京のレストランなどでも好んで使われているなど需要も多数。雪室でしか作り出せないこの甘さが最大の特徴です。

★帯広大正メークインまつり

収穫したてのメークインをみんなで味わい秋を満喫しようという「帯広大正メークインまつり」は2017年で41回目を迎えました。
毎年9月に行われる、まさに帯広の秋の風物詩とも言えるお祭りです。
大人気のいも詰め放題には毎年長蛇の列が。いも煮が無料で振る舞われるほか、いも団子やコロッケなどが販売されるメークインを楽しむ絶好の機会です。
JA帯広大正のマスコットキャラクター、メークインの「さつきちゃん」のステージも行われ毎年たくさんの人で賑わっています。

生産に最適な土地だからこそ、格別の美味しさと甘さを引き出せる。
十勝・帯広産のメークインは“じゃがいも王国”北海道の中でも最高品質のメークインとして道内のみならず全国で人気のおいもです。